ハリボテの悩み

昨日までの分厚い雲は何処へやら、春らしい素敵な天気ですね。個人的にはもう少し涼しい方が好みですが、ピクニック日和とはこんな日のことを言うのでしょう。 

 

洗い物をしていたら、ふと、裁判員制度について書きたくなりました。

火種はおそらく先日の授業ガイダンスです。「欠席に関する特別措置」の対象として、感染症や怪我と並んで裁判員裁判への出頭が挙げられていることに引っ掛りを感じてそのまま忘れていましたが、脳が関連する記憶を発火させて無意識の内にまとめてくれたようです。バーバラ・オークリーの言う「拡散モード」でしょうか。偉いぞ脳。

さて、開始から9年が経ち、最近はすっかり話題に上らなくなった裁判員制度。もちろん今でも制度は続いており、裁判員裁判は日々行われています。ハフポストによれば

制度施行から2017年2月末までに全国60の地方裁判所(10支部を含む)において、裁判員候補者は約240万人、そのうち55,851人が裁判員を経験し、18,999人が補充裁判員を経験しています。制度開始から今日までの間に7万人以上の市民が裁判員、補充裁判員として刑事裁判の判決に関わったことになります。

 とのことです。武道館のキャパシティが15000人ですから、ざっとその5倍ですか。(分かりにくい例の例)
 

それで、僕の感じた引っ掛かりというのは辞退についてです。

裁判員は国民の義務ですが、学生であれば辞退することが認められています。(裁判員法15条)とはいえ、大学から「授業があるから辞退しろ!」と命令するのは明らかにアウトでしょう。実際、W大では辞退について「参考」として紹介しています。やらしげ。
f:id:bloglot:20180426125933j:image
 

学生こそ行ったほうが良いだろうし大学はむしろ推奨するべきなんじゃないか、とか、始めから対象外にしておけば、とか考えた末にたどり着いた先は、やっぱり裁判員制度要らないんじゃないかなってことです。

選任手続についてみると、選定された裁判員候補者のうち、辞退が認められた裁判員候補者の割合(辞退率)は、制度開始時の53.1%から年々上昇しており、2015年は64.9%、2016年は64.7%、2017年(2月末まで)は66.4%とさらなる上昇が見られました。

一方で、質問票等で事前には辞退が認められず、選任手続期日に出席を求められた裁判員候補者の出席率は、制度開始時の83.9%から年々低下しており、2015年は67.5%、2016年は64.8%、2017年(2月末まで)は56.6%となっています。


呼び出しを受けた裁判員候補者は、選任手続期日に出頭しなければならず(裁判員法29条1項)、正当な理由なく出頭しない場合、10万円以下の過料に処される可能性があります(裁判員法112条1号)。もっとも現段階で、出頭しない裁判員候補者が過料に処せられたという発表、報道はありません。 

 

上記の通り、裁判員の辞退についてはかなり広く認められています。しかし、裁判員制度は広く無作為に裁判員を抽出して(法律家でない)一般人の意見をくみ取ることに目的があったのですから、辞退を過剰に認めてしまえば、制度の根幹を崩すことになります。

そもそも「一般人の意見をくみ取る」という目的が曖昧ですし、素人裁判官制というのは、陪審制でも参審制でもない妥協の産物と言わざるを得ません。国民のコンセンサスをしっかりととらないまま通した制度が今まで続いていること自体、驚くべきことでしょう。近い将来にこの制度は見直されると思います。(これ以上踏み込むと愚にもつかない妄言を撒き散らしそうですから、この辺りで退却します。)

 

読み返してみたら、いつにも増して勉強不足丸出しですね…

裁判員制度について考え直してみるきっかけになれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました、また次回!