普通の世界(1)

月曜日です。元気ですか。

やるべきことの数が無限大に発散していたり、新歓で朝まで飲んでいたり、サークルが決まらなかったりと、それぞれに大変な一週間を乗り越えてきたのでしょう。疲れの取れぬまま新たな一週間に突入するかもしれませんが、睡眠と食事だけは忘れないでください。あなたにはお布団とご飯がついています。

この2週間(長い!)を乗り越えればゴールデンウィークですから、共に生き抜きましょう。愚痴や悩みはlineで聞きます。

 

リフレッシュできるような記事にしようと思いキーを叩き始めましたが、そもそもそんな文章力が無いことに気づきました。つらい。むしろ読んだら疲れそうな仕上がりになってしまったので、心に余裕のある時に流し読みしていただければと思います。

 

では、早速ですが質問を。

あなたは普通(ノーマル)ですか?

あるいは、異常者(アブノーマル)ですか?

 

難しい質問です。曖昧で無価値な質問として退けることもできるでしょう。ここで正面から立ち向かいたいのは山々ですが、残念ながら僕にはその能力も知識もありません。

ですから、今回は「普通」についての色々な思想を紹介したいと思います。普通とは何なのか、あなたの考えを進める助けになれば幸いです。

 

普通 normalという語は、ラテン語のnorma(基準)に由来します。確かに、ある事象について判断するとき、一つの正しい基準(ものさし)があれば、その事象が普通かどうか決められます。しかし、その基準が「正しい」ことは一体どこの誰が保証してくれるのでしょう?

まず思いつくことは、その基準が人間の本質に根ざしたものだからということです。「全裸で街中を走り回ってはいけない」のも「人を殺してはいけない」のも、それが人間にとって自然だから、という考えですね。この考え方の下では、人間にとって自然なものが正常とされ、規範となり、そこから逸脱すれば即座に異常者の烙印を押されることになります。

でも、たとえばごく最近まで(一部の人は今でも)人種差別は「自然な」考えとされてきましたし、戦時には敵対国の兵士を殺害することも「自然な」選択となりえます。ですから、基準を人間の本質に求める考えは明らかに無理筋です。その時々によって変化するようなものが人間の本質であるはずがありませんからね。人間にとって「火が燃えるように自然な」(アリストテレス)基準などというものは存在しないのです。

すると、基準/規範をひとつの制度として捉える考えが出てきます。法律が人為的で不自然なものであるように、基準も人がつくったものだと言うのです。では、その基準はどのように作られるのでしょう?

社会学者のデュルケームは、社会の慣習について統計的に調べ、その中でマジョリティーとなる営みが正常で、マイノリティーが異常だと捉えられると考えました。人間の本質ではなく、数字の多数性を拠り所とする科学的な考え方ですね。(デュルケームは、未熟だった社会学を新しい科学として確立させようとした人です)

補足のため、少しWikipediaの助けを借りましょう。

デュルケーム社会学独自の対象とした「社会的事実」とは、個人の外にあって個人の行動や考え方を拘束する、集団あるいは全体社会に共有された行動・思考の様式のことであり、「集合表象」(直訳だと集合意識)とも呼ばれている。つまり人間の行動や思考は、個人を超越した集団や社会のしきたり、慣習などによって支配されるということである(たとえば、初対面の人に挨拶をすること、うそをつくのは悪いことだと考えることなどは、社会における一般的な行動・思考のパターンとして個人の意識の中に定着したものである)。

 つまり、基準は社会の内部から生まれて、私たちを支配するのだということです。安直かもしれませんが、ちょっと荀子と似た部分を感じます。

また、デュルケームは著書「正常現象としての犯罪」の中で「あらゆる社会のうちに心理学的に異常な個人が存在することが社会的には正常なのである」という結論を出しています。逆説的ですが、一面の真理を言い当てているでしょう。星新一ショートショートにそんな話が出てきた覚えがありますが、題名を忘れてしまいました…

ただし、社会から自然発生する基準という考えには弱点があります。正当性です。この基準は、あくまで「事実である」ということしか持ち合わせていません。たとえそれがマジョリティーだとしても、全員が従わなければならない理由にはなりません。

 

これをちょっと広げると「なぜ法に従わなければならないのか」という問題になりますが、それについてはまた記事を改めさせてください。

 

このエントリで書ききるつもりだったのですが、思いの外長くなってしまいました。2000文字超。(そんなに長くも無いな…)

というわけで、続きます。シリーズと後回しにした話題の数が多すぎる気もしますが、地道に消化して行くつもりです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。また次回!